かわいい子犬を家族に迎えたものの、いたずら盛りの子犬の甘噛みのひどさに、手を焼く飼い主は大勢います。
子犬の甘噛みは、成長期にどの犬にも生じる一過性の問題行動です。しかし対処法やしつけの仕方を間違えると、一生続く問題にもなります。正しいしつけの方法を身に付け、生後半年以内に甘噛みは解消しなければなりません。
子犬の甘噛みを無視してはいけない理由
甘噛みのしつけ方で「無視をする」という方法があります。広く提唱されている方法ではありますが、この方法が通用する犬はごく限られた一部の犬だけです。すでに人間との信頼関係、主従関係が完成されている場合に限り通用します。
基本的にペットショップなどから購入した生後間もない子犬には、無視というしつけ方は効果がありません。
その理由は
・無視をされている意味、相手が望む事を理解出来ない為
・相手の気を引こうとかえって躍起になる為
・甘噛みが許されていると思う為
です。
また、無視をする事で子犬は
・相手が何の反撃もしないという事は、自分より弱者だ
・自分の存在に気がついていない
・自分の攻撃が意に介さないほどに、相手が強い
と誤解をし、かえって甘噛み行動をエスカレートさせます。
子犬の甘噛みを止めさせるために「叱る」「叩く」「大きな音で驚かす」という方法も万能ではありません。しつけには、それぞれの犬種、性格にあった適切な方法を用いる事が必要です。
猟犬・テリア種・闘犬種の甘噛みの対処法
ダックス、ヨークシャーテリア、シュナウザー、ブルドッグ、コーギーなどの犬種の特徴に
・非常に知能が高い
・飼い主に従順
という面と
・負けん気が強い
・頑固
・攻撃的
という面があります。このような性格の犬種へのしつけには「叩く」「叱る」といった方法は逆効果です。
人間が「力」で反撃をすれば、子犬はそれ以上の「力」で反撃をしかえし、人間に打ち勝つまで問題行動をエスカレートさせます。
このような性格の子犬には
・遊びの合間に、テンションが上がりかけたタイミングで、一旦ハウスへ戻す
・遊びの合間に「オスワリ」や「マテ」をさせ、過度な興奮をさせない
・甘噛みをしようとする瞬間に「オスワリ」「マテ」をさせ、噛みつきをさせないように別の指示をだす。
または、仰向けにさせ、噛みつきが出来ない体勢にする。
・噛みついた後は、力ずくで止めさせるのではなく、オヤツを見せ、オスワリをさせ、自ら口を離すように指示をだす
という手順で接します。甘噛みをしてからではなく、する前に行動を制限する事が成功の秘訣です。
愛玩犬・繊細な性格・臆病な性格の犬の甘噛みの対処法
パピヨン、マルチーズ、キャバリア、シェルティなどの犬種の特徴に
・攻撃性がない
・繊細な性格
という面と
・言語理解能力が低い
・警戒心が強い
・臆病で、条件反射的に行動をする
という面があります。
このような性格の犬種へのしつけには「驚かす」「不安にさせる」といった方法は逆効果です。
犬に気がつかれないように大きな音で驚かせる、苦みのあるスプレーで嫌な思いをさせるなどの方法は、正体不明の存在に怯えさせ、次第に警戒心を強め、無駄吠えの原因になります。
このような性格の子犬には
・遊ぶ時は、犬用のおもちゃを使用し、手などでじゃらして遊ばせない
・噛みつきをした場合は、軽く鼻先を叩き、飼い主が不快に感じている事を明確に理解させる
・噛みつきはたとえ力加減をしてきた場合でも、一切見逃さず、鼻先を叩き、してはいけない事だと理解させる
・噛みつきをせずに、飼い主の傍で過ごせている時にランダムなタイミングでオヤツを与え、正しい行動である事を理解させる
という手順で接します。甘噛みをしてはいけない事を、何度も繰り返し教える事、正しい行動で褒める事のメリハリのあるしつけ方が効果的です。
子犬の甘噛みのしつけ方
犬にはそれぞれの犬種が持つ特有の気質があります。しつけの効果を最大限にするには、気質を理解し、効果的な方法で接する事が基本です。